眠れないときに「アロマを」と考える方は多いと思います。
香りで本当に眠れるようになるのでしょうか。
どんな香りがおすすめですか。
どんな方法でしますか。そのことをお伝えしますね。
日本は睡眠時間の短い国といわれています。地域で見ると東京在住の人は短眠気味で、日本の女性は他国と比べて睡眠時間が短いそうです。
睡眠時間が短い人は太る傾向があり、生活習慣病が出やすくなります。また、脳内の老廃物が十分排出できないために認知症になりやすくなるなど、不眠のデメリットを耳にします。よく眠れるなら、ホルモンバランスが調整され、免疫力はアップし、眠りによって嫌な記憶も忘れることができるようです。
心身の健康のためにも睡眠は大切ですので、依存症の心配のないアロマテラピーをぜひ活用してみてください。
精油の効果
いくつかの精油をご紹介しますね。
真正ラベンダー
リラックス効果のある香りで、この香りによって脳内ではα波が出てきます。
そして真正ラベンダーに多く含まれる成分は、「酢酸リナリル」「リナロール」です。
酢酸リナリルやリナロールにはリラックスさせるとともに、不安をやわらげる効果があります。
さらにリナロールは、途中覚醒も予防してくれる効果があるといほうこくもあります。夜中や朝方に目が覚めてしまってそのあと眠れない…という人に役立つかもしれません。
またラベンダーは、脳内でVABAを増やすとも言われます。VABAば体温を急速に下げて、血圧も下げてくれるので、体は眠りに入りやすくなります。
ベルガモット
ベルガモットもラベンダーのように酢酸リナリルが多い精油です。リナロールも含まれていますので眠りに役立ちます。これらはリラックスさせてくれる成分です。
加えてベルガモットには、リモネンという成分もたくさん含まれています。オレンジやレモンなどの柑橘系精油に豊富に含まれているもので、この爽やかな香りが嫌いな人はいないのではないかと思うくらい好まれています。そしてこのリモネンにはリラックスさせる効果と、交感神経を刺激して活性させる効果もあるのです。それら両方の効果から、自律神経のバランスを整えてくれる香りともいわれます。考え事や心配事で眠れないときに、この香りを使ってみるのもおすすめです。
ベルガモットを使用することで、入眠が早まり、睡眠時間が伸びたという報告もあります。
寝不足気味で起きた朝の集中力の低さを経験することがあるかと思いますが、ベルガモットの香りのある中で眠ったときは集中力の低下がみられなかったという報告もあります。集中力だけではありません。ベルガモットの香りの中で眠ったときは、短時間睡眠でもお肌のハリの低下を感じなかったということなんです。
夜、寝る時間が遅くなった日や、朝、早起きしなければいけないときなどには、ぜひベルガモットの精油を使ってみてください。
五感の中で、視覚・聴覚・味覚・触覚は、視床を通って脳に伝わりますが、嗅覚だけは視床を介さず脳の大脳辺縁系に伝わるために、眠っている間も香りを感じているのです。
睡眠中であっても精油の効果があると思われるいろいろな報告があります。
ベルガモットを枕元に置くことによって、風邪予防の効果があり、睡眠中のラベンダーの芳香浴で歯ぎしりが減って睡眠の質も向上するということです。
眠っている間の芳香浴、お勧めします!
ヒノキ
和精油の中でもなじみの深い香りですね。リラックスする香りです。
血行促進の効果もあり、疲労回復、冷えやむくみにも良いといわれるので、ヒノキのアロマバスなどはよさそうですね。
ヒノキの香りに含まれているα‐ピネンは、すぐに眠りに入りやすく質の良い睡眠をうながすといわれます。ラベンダーよりも睡眠効率が高いという報告もあります。
ラベンダーは脳内でα波が出るといわれますが、ヒノキやシベリアモミの精油に含まれているセドロールという成分で、脳内にθ波が出てきます。セドロールは木の香りで鎮静効果があり、呼吸や心拍数を落ちつかせて体を眠りにむけてくれます。θ波は深い瞑想状態やまどろみ状態のときに出てくるものなので、眠る前に使う香りとしては最適かもしれませんね。
ネロリ
ネロリはオレンジの花の香りです。気持ちを静かに落ち着かせてくれる香りで、これを好きな女性は多いと感じています。ネロリの香りは、5月に咲く柚子の花の香りに似にています。上品でほのかにシトラスやウッディな香りをふくんだ、ややビターな香りです。
「天然の精神安定剤」と呼ばれるほど心に作用するので、安眠にも良い香りです。
ネロリには、ラベンダーと同じくらいリナロールがたくさん含まれています。不安をやわらげて心を落ち着かせてくれる成分です。ヒノキのようにピネンも含まれています。
英国の癌ケアセンターの補完療法で使われている「安眠レシピ」にもネロリが含まれていました。
その安眠レシピは、ネロリ(オレンジの花)とオレンジ(果実の皮)とプチグレン(オレンジの葉)を合わせたトリプルオレンジのブレンドです。全部オレンジで相性がよく、とても落ち着く素敵な香りです。
親を亡くしたり、親とはぐれてしまった野生動物の赤ちゃんがよく選ぶ香りもネロリだそうです。心を静かに落ち着けて、優しく癒してくれる香りです。
自然と植物と花の香りをこよなく愛したマリー・アントワネットのこんな逸話があります。
フランス革命前夜のプロパガンダの中、多くの人の批判にさらされ反発を受けながら、ベッドの中で「死んでしまいたい」と声をあげて泣いて情緒不安定になっていたときに、彼女はネロリの香りに頼っていたそうです。逃亡中の持ち物の中にも、高価な香料の他に、ネロリウォーターと頭痛のときのためのラベンダーウォーター、そしてベルガモット精油があったということです。
眠りに役立つ香りは、ストレスを抱えた心にも良いようです。
芳香浴の方法
どのように、寝るときに香りを漂わせればよいのでしょうか。
アロマディフューザーがいろいろありますが、簡単な方法で芳香浴はできます。
ティッシュペーパーに精油を2滴ほど垂らして枕もとに置くだけでいいのです。
寝ている間に精油は揮発してだんだん香りは弱くなりますが、それでも脳は香りを感じています。
強いはっきりした香りよりも、ほのかな香りで十分なのです。人は潜在意識のレベルでかすかな香りを感じ、その影響を受けているのだということも知られています。
寝るときにティッシュペーパーに精油を垂らして枕元に置くだけというこの簡単な儀式をぜひ試してみてください。